転勤や住み替えで候補の県を比べるとき、県全体の中古マンション価格を一つずつ並べるだけでは足りない。国土交通省の不動産情報ライブラリの取引価格を当サイトが集計すると、大阪府の中古マンション等の価格中央値は2,500万円。ただし真ん中の半分の取引は1,600万〜4,200万円に散らばっている(2025Q2〜2026Q1の4四半期分、取得は2026年9月1日)。
この幅の内側には、築浅と築古、ワンルームとファミリー向けが混ざっている。同じ物差しで比べる手順は三つある。住みたい府県の四分位で幅を確かめる。築年数と間取りで区分を絞る。候補の府県の同じ区分どうしを並べる。
中央値と四分位が示す範囲
中央値は、取引を価格の順に並べたときの真ん中の値だ。半分の取引はこれ以下、半分はこれ以上の価格だった(同じ価格が並ぶ場合を含む)。平均値と違い、一部の高額物件に引っ張られにくい。下位25%は安い方から4分の1の位置、上位25%は高い方から4分の1の位置の価格で、その間に取引の半分が入る。
大阪府全体の集計対象は17,804件で、府内の取引価格をまとめた値である。内訳は当事者アンケートによる不動産取引価格情報が6,818件、仲介の成約価格情報が10,986件。性格の違う2つの記録を合わせて算出している。参考までに全国の価格中央値は2,900万円だが、自分の条件に近づけるうえでは、府内の下位25%と上位25%の価格に2,600万円の開きがあることの方が手がかりになる。市区町村の中でも価格の幅がどれだけ開くかは同じ市区町村でも75%点は25%点の何倍かを見た記事にまとめている。
築年数で区切ると、価格と㎡単価で並びが変わる
| 築年数 | 価格中央値(下位25%〜上位25%) | ㎡単価中央値 |
|---|
| 築5年以内 | 4,600万円(2,400万〜7,700万円) | 1,000,000円/㎡ |
| 築6〜10年 | 3,500万円(2,000万〜5,900万円) | 853,333円/㎡ |
| 築11〜15年 | 4,200万円(2,500万〜5,900万円) | 760,000円/㎡ |
| 築16〜20年 | 3,700万円(2,500万〜5,400万円) | 600,000円/㎡ |
| 築21〜25年 | 3,400万円(2,500万〜4,500万円) | 514,286円/㎡ |
| 築26〜30年 | 2,500万円(1,700万〜3,500万円) | 384,615円/㎡ |
| 築31〜40年 | 1,800万円(1,100万〜2,700万円) | 280,000円/㎡ |
| 築41年以上 | 1,500万円(900万〜2,200万円) | 250,000円/㎡ |
出典:不動産情報ライブラリ(国土交通省)の取引価格をもとに当サイト集計。大阪府、2025Q2〜2026Q1の4四半期。築年数は取引時期の年から建築年を引いた値で、建築年が「戦前」・空欄の取引は除く
価格中央値だけを見ると、築6〜10年の3,500万円より築11〜15年の4,200万円の方が高い。専有面積の中央値は前者が55㎡、後者が65㎡で、住戸の広さがそろっていない。㎡単価で並べ直すと、1,000,000円、853,333円、760,000円と古い区分ほど低くなる。
区分ごとの差には立地や面積の構成の違いも混ざるため、同じ物件が年を追って値下がりした記録とは区別する必要がある。件数がいちばん多いのは築41年以上の4,543件で、県全体の中央値にはこの層の比重がそのまま効いている。
間取りの名前だけでは広さがそろわない
大阪府で件数が最も多い間取りは3LDKの7,057件で、価格中央値は3,000万円、専有面積の中央値は70㎡だった。同じ3部屋でも3DKは950万円(55㎡)と、3LDKの3分の1に満たない。2LDKは3,300万円(65㎡)で、3LDKより高い。
単身向けも名前どおりには並ばない。1Rは790万円(25㎡)、1Kは1,800万円(20㎡)で、1Kは面積の中央値が小さいのに価格は2倍を超える。1Kは下位25%が1,600万円、上位25%が2,000万円と幅が狭く、件数2,152件のうち1,609件が不動産取引価格情報だった。こうした差がどこから来るのかは、この集計からは読み取れない。間取りで絞るときは、価格と一緒に㎡単価と面積の中央値も見ておくと読み違えにくい。
候補の府県は同じ区分どうしで並べる
| 都道府県 | 全体の価格中央値 | 3LDKの価格中央値 |
|---|
| 大阪府 | 2,500万円(17,804件) | 3,000万円(7,057件) |
| 兵庫県 | 2,200万円(9,074件) | 2,500万円(4,287件) |
| 京都府 | 2,400万円(3,240件) | 3,000万円(1,217件) |
| 奈良県 | 1,500万円(1,022件) | 1,500万円(594件) |
出典:不動産情報ライブラリ(国土交通省)の取引価格をもとに当サイト集計。2025Q2〜2026Q1の4四半期、各府県内の物件の取引
大阪府と京都府は、全体の中央値では100万円の差がある。ところが3LDKにそろえると、どちらも3,000万円で並ぶ。兵庫県は全体で大阪府より300万円低く、3LDKでは500万円低い。築年数でそろえると、兵庫県は築5年以内が4,200万円(526件)、築31〜40年が1,500万円(1,965件)で、大阪府の4,600万円・1,800万円との差はそれぞれ400万円と300万円になる。
奈良県は3LDKが1,500万円で、大阪府の3LDKの半分だ。築31〜40年は940万円(240件)。築5年以内は件数が30件に届かず、値が出ていない。全体の専有面積の中央値は奈良県が75㎡で、4府県の中でいちばん広い。
どの府県の値も、その府県のどこで取引が多いか(都心か郊外か)がそのまま入っている。候補の府県を決めたら、住む予定の市区町村の相場まで降りて確かめる必要がある。当サイトの住宅予算ツールでは、市区町村ごとの相場と、年収から試算する住宅ローンの借入上限を調べられる。
この中央値が答えないこと
ここにある数字は、過去に成立した取引の価格を区分ごとにまとめた相場の目安だ。個々の物件の値付けを示すものではなく、買えるかどうかや、どの県が得かも示さない。
集計にはいくつかの約束がある。件数が30件未満の区分は出していない。面積が8888・9999と記録された取引は「上限帯以上」を表す符号なので、㎡単価と面積の計算から除いた。直近の四半期は公表が進んでいる途中で、件数はまだ確定していない(2026年9月1日の取得時点)。数字が後から少し動く可能性も込みで読んでほしい。